子どもの進路(特別支援学級ver)

ここ最近、お子さんの進路について質問をいただいたので、複数回に渡って解説をしたいと思います。

今日紹介するのは『特別支援学級(個別級)』について

特別支援学級(とくべつしえんがっきゅう)は、障害のある子どもたちのニーズに合わせた専門的な教育を行うために、通常の小・中学校内に設置されている少人数の学級です。

学級の定員

子どもたち一人ひとりの特性やペースに合わせたカリキュラムで学びながら、学校行事や一部の教科では通常の学級(普通学級)の生徒とも交流できるのが大きな特徴です。

1クラス何人くらいなの?

教員1人に対して、定員は原則8人までだね

その分、きめ細かな支援を受けられるってことだね

まず、1番の特徴は学級の人数です。

通常学級(一般学級)が、教員1人に対して、定員35〜40名なのに対して

特別支援学級は8名までとなっており、より手厚い支援を受けることが可能です。

カリキュラムについて

二つ目の特徴として挙げられるのが、学習内容(カリキュラム)についてです。

特別支援学級では、子ども一人ひとりの強みや課題に合わせて、オーダーメイドの「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」が作成されます。これに基づき、教科書の内容をかみ砕いて教えたり、生活スキルを学ぶ「自立活動」の時間が設けられたりします。

つまりどういうこと?

その子に合わせたオーダーメイドな学習内容を組むってことだね

一般学級では、小学3年生なら全員が3年生の教科書を使い、同じ進度で学びます。

しかし、支援学級(特に知的障害学級)では、以下のような柔軟な変更(「下限代替」や「教育課程の編成」)が認められています。

  • 学年をさかのぼった学習: 小学生5年生であっても、本人の理解度に合わせて小学校3、4年生の算数の教科書を使って授業を行うことができます。

  • 教科の目標そのものを変える: 「6年生の算数」の習得が難しい場合、目標を「生活に必要なお金の手計算や、時間の管理ができるようになること」へと置き換え、生活に直結した内容(生活単元学習)に変えることができます。

※知的な遅れのない「自閉症・情緒障害学級」の場合は、基本的には一般学級と同じ教科書を使い、同じ進度で進めるカリキュラムを組むことが多いです。

自閉・情緒障害学級ってなに?

特別支援級の中にも障害に応じて2つのクラスがあるんだ

自閉・情緒障害学級ともう一つは?

知的障害学級だね

特別支援学級は、障害の種別ごとに設置することになっているため、この2つは明確に区別されます。それぞれのクラスでは、以下のように指導の目的やアプローチが異なります。

  • 知的障害学級
    • 対象: 知的な発達にゆっくりさがある子どもたち。
    • 指導の目的: 子どもの理解のペースに合わせた教科の学習や、将来の自立に向けた生活スキル(買い物、調理、体づくりなど)の習得を重視します。
  • 自閉症・情緒障害学級(情緒学級)
    • 対象: 知的な遅れはほとんどない、あるいは軽度であるものの、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD、不登校傾向などで、集団行動や感情のコントロールに難しさがある子どもたち。
    • 指導の目的: 基本的には通常学級と同じ教科書や進度で勉強しつつ、コミュニケーションの練習(SST)や、パニックを防ぐための環境調整、情緒の安定を重視します。

このように「ゆっくり丁寧に勉強や生活を学ぶクラス」と「通常の勉強を進めつつ心の安定や関わり方を学ぶクラス」という違いがあるため、クラスが分かれています。

ただ教室が隣同士だったり、教科によっては合同で授業をすることもあるよ

特別支援学級ならではの教科

通常学級にはなく、支援学級のカリキュラムに必ず組み込まれているのが「自立活動」「生活単元学習」という時間です。

「自立活動」とは? 

障害による学習や生活上のしんどさを克服するための時間です。具体的には、手先の不器用さを改善するトレーニング、感情をコントロールする練習、友達との話し方を学ぶソーシャルスキルトレーニング(SST)など、その子の課題に合わせた個別のプログラムを行います。

「生活単元学習」とは?

教科の枠を超えて、実際の生活に役立つ知識やスキルを総合的に学ぶ時間です。

一般学級: 算数は算数、理科は理科と、時間が完全に区切られています。

支援学級: 例えば「みんなでカレーを作ろう」という単元(テーマ)を設定します。

  • 【国語】必要な材料をメモに書く
  • 【算数】スーパーに行って予算内でお買い物をする(お金の計算)
  • 【理科・家庭科】野菜の育ち方を学び、実際に包丁や火を使って調理する このように、複数の教科を生活に結びつけて一気に学ぶ工夫がされています。

Q &A

特別支援学級にはどうやって入れるの?

支援級への入級は親の希望だけで自動的に決まるわけではなく、学校や教育委員会と丁寧に話し合いを重ねながら、子どもにとってベストな環境を一緒に決めていく流れになります。

「個別支援学級」「通級指導教室」「特別支援学校」に通いたい場合は、行政の窓口への相談の申込みをしてください。

ステップ①:学校または教育委員会に相談する(4月〜6月頃)

まずは「支援級への入級を検討している」という意思を伝えます。窓口は、お子様が現在置かれている状況によって異なります。

  • 来春、小学校に入学する子(年長さん): 市区町村の教育委員会(就学相談の担当窓口)に直接連絡するか、通っている保育園・幼稚園に相談します。
  • 現在、小・中学校に通っている子(通常級からの転籍): 現在通っている学校の担任の先生、または特別支援教育コーディネーターの先生に相談します。

ステップ②:就学相談・面談(6月〜9月頃)

教育委員会の専門スタッフや心理士などと面談を行います。 子どものふだんの様子、園や学校での困りごと、保護者としての希望などを詳しく伝えます。また、子ども自身の行動観察や、必要に応じて知能検査(WISCや田中ビネーなど)を行うこともあります。

ステップ③:学校見学・体験入学(7月〜10月頃)

実際に通うことになる地域の小・中学校の支援級を見学します。 「知的学級」と「情緒学級」のどちらが合いそうか、実際のクラスの人数や先生の雰囲気、授業の進め方などを直接目で見て確認できる非常に重要なステップです。

ステップ④:就学支援委員会による「判定・意見」(10月〜11月頃)

医師、大学教授、特別支援学校の校長などの専門家が集まる「就学支援委員会」という組織が、面談記録や検査結果、医師の診断書などを総合的に見て、「このお子様には特別支援学級(または通常級、特別支援学校)が適しています」という医学的・教育的な判断(判定)を出します。

ステップ⑤:最終決定と手続き(12月〜1月頃)

教育委員会から保護者へ、委員会の判定結果が伝えられます。 ここで最も大切なのは、「最終的な決定権は保護者(親)にある」という点です。もし委員会の判定が「通常級が望ましい」であっても、保護者が「どうしても支援級で手厚く見てほしい」と希望し、話し合いで合意ができれば、支援級への入級が認められます。

療育手帳は必要?

絶対必要というわけではないけど、診断書や手帳があることで判定がスムーズになることはあるね

一度、支援級に入ったら戻れない?

そんなことはありません。通常学級に在籍することが妥当(お子さんに合っている)と分かれば転籍も可能です。

逆も然りで、通常学級で入学したのち学年が上がるタイミングで支援学級に転籍するというケースもあります。

ただし、子どもの精神的な負担や手続きの観点から、「学期の切り替わり(夏休み明けなど)」が選ばれることが多く、日常の何気ない時期(例えば11月の半ばなど)に急に変更するのは、現実的にはハードルが高いとされています。

例外はある?

いまの環境が子どもにとってストレスが大きい場合、もしくは移籍するための交流(慣らし)が十分行われてる場合は年度途中でも移籍することがあるね

移籍のためのステップ

担任の先生への相談 

まずは現在の様子(困りごとや、逆に環境を変えたい理由)を担任に伝えます。

校内の検討委員会(就学支援委員会など)での協議 

学校側(管理職や特別支援教育コーディネーター)が、本人の現在の学力や適応力を見て、学年途中での変更が適切かどうかを話し合います。

教育委員会との調整 

最終的な在籍の決定権は市区町村の教育委員会にあるため、学校を通じて、または直接保護者から教育委員会に申請を行います。

将来の進路が狭まることはない?

「支援学級に入ると公立高校を受験できないのでは?」という誤解が根強くありますが、受験資格はあります。

ただし、内申点の評価方法が自治体や学校によって異なるため、特別支援学校(高等部)や、手厚いサポートがある私立高校、通信制高校なども視野に入れて早くから情報収集をする親御さんが多いです。

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