小学生の親御さんからあがる相談の一つに「子どもがパンツに手を突っ込んで性器を触っているんですが、どうしたらいいですか?」「汚いって周りの子に嫌われたり、いじめの対象になるんじゃないか心配で…」という相談があります。
また触っているのが癖になってしまいそうで心配という気持ちもありますよね
そんな気持ちから「やめて!」「汚いでしょ!?」「そんなことして恥ずかしいわよ」などの言葉で「禁止」する親御さんを多く見かけます。これらの注意や叱責は一時的にその場では行動が収まるかもしれませんが、注意する人がいない場でやったり、他の弊害が出たりすることもあります。
では、「子どもが性器を触る」要因はなんなのでしょうか?
主に考えられる要因は3つあります。
①不安やストレスからくる行動
こちらの相談を受ける時期が、個人的には今の季節の3月〜4月にかけてが多い印象を受けています。
この時期は、新学期で担任が変わったり、クラスが替わったりと子どもにとっても変化の大きい時期です。そんな時期に、不安やストレスから、性器を触る行動が出ていることがあります。
性器を触ることで、他の苦手な刺激から逃げるために強い刺激を得ていたり、柔らかさや温かさからリラックスしようとしていることがあります。
もし要因がストレスや不安からくるものであるのであれば、その不安を解消するようなアプローチをすることが適切でしょう。
未就学のお子さんでたとえば、入学式や遠足に不安を感じている場合であれば、事前に学校側へ相談をすることで、前日式の会場となる体育館を見せてもらったり、遠足で行く場所を事前に家族で下見に行ってみるなども有効です。見通しが立つことで不安感が解消することがあります。
また、全ての不安を取り除くことは難しいかもしれませんが、話を聞いてあげたり、夜一緒に添い寝しながら絵本を読んであげるなど、子どもが心地よさや安心を感じられるような関わりを増やすのも一つの手です。
②触った時の感覚を楽しんでいる
自分の身体への興味から性器を触っていることも考えられます。よく赤ちゃんが自分の口に手を入れて舐めることがありますよね。あれも自分の舌や口内の感覚を楽しみながら確認しているとも言われています。
そういった場面で、前述したように「汚いでしょ?」「恥ずかしいからやめて!」などの注意をしてしまうと、「わたしのカラダ(性器)は汚いんだ」という間違ったメッセージが伝わってしまうことがあります。
自分の体への興味からくる行動の場合は、「性教育」のよいタイミングだと捉えて、性のことを話してみるのもオススメです。「おちんちん触ってると落ち着く?」など声をかけた後に、いわゆるIメッセージで私を主語にして「触っていると気持ちいいのは分かるんだけど、きちんと手を洗ってくれたら嬉しいな」「そこは大事なところだから、お父さんは人の前では触ってほしくないと思ってるんだ」など、伝えるのがオススメです。
またそれと同時に、触っていい場所やタイミングも伝えてあげましょう。それが将来、思春期の時に性と向き合うきっかけになったりもします。
③自分のことを見てもらいたいという注目要求からくる行動
子どもが性器を触るなどしていると、つい大人は過剰に反応したり、注意したりしますよね。もしかすると「性器を触る」という行動は、大人からその反応(注目)を引き出すための行動かもしれません。
クレヨンしんちゃんを思い出して欲しいのですが、彼が人前でパンツを下ろしたり、お尻をぷりぷりするのはまさに、それによって注目を集められるからです。
この場合は、必要以上に反応しない、もしくは冷静な態度で「パンツから手を出して」「ズボンをあげて」など伝えましょう。この時よく「やめて」とか「(ズボンに)手入れないよ!」など叱ることがありますが、人間の脳は否定語を受け入れるのが難しいそうです。
また「やめて」は抽象的すぎて子どもからすると「なにを?」と伝わらないことがあります。なので注意するときは、「パンツから手を出して」など「して欲しいこと」を肯定系で伝えることが大切です。
まとめ
性器を触るという行動には3つの要因が考えられる。
①不安やストレスからくる行動
②触った時の感覚を楽しんでいる
③自分のことを見てもらいたいという注目要求
要因によって対処法も変わってくるため、まずはどんな場面でその行動が起きているのか、子どものことをよく観察してみましょう。
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